KAIKAの考え方の背景

 一般社団法人日本能率協会(JMA)は、2012年に創立70周年を記念して、経営革新提言「共進化――『働く日本らしさ』で価値の創造に挑みつづけ、アジアの次の豊かさをともにつくる』を発表しました。「共進化」はもともと生物学の概念で、「複数の種が互いに生存や繁殖に影響を及ぼしながら進化する現象」を指します。それと同様に、企業は事業はじめさまざまな活動を通して社員、顧客、社会とともに発展していく存在であることを改めて示しました。

 この提言が生まれた背景には、ある共通認識がありました。それは、日本の社会と企業は飛躍的に発展した一方で、個人の幸福は実現したと言いがたく、ここに大きなギャップがあるということです。

 KAIKAは「個の成長、組織の活性化、組織の社会性」を同時に実現するプロセスを指します。まず個人が存在し、個人が集まって組織ができ、多くの組織が集まって社会が成り立っています。個人、組織、社会がともに進化するためには、その3つが同じ価値観を共有しなければならないと考えます。

 企業の社会貢献は、最近になって意識されたわけではありません。90年代初めに企業メセナが盛んになり、その後にCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)が産業界に広く浸透し、そして現在はCSV(Creating Shared Value:社会と共有できる価値を創りだすこと、共有価値の創造)が注目されています。

 個人、組織、社会の健全なダイナミズムの中で共有価値が創造できれば、個人にプラスとなる行動が組織にとってもプラスになり、組織にプラスとなる行動が社会にとってもプラスになるということです。

 この場合の社会は日本国内にとどまらず、今後は日本からアジアへ、あるいは世界へと拡大されていくものです。地球環境保全、国際情勢、世界経済とさまざまな問題で共有価値が求められ、そこで日本企業が果たしていく役割もますます大きくなっていくのだろうと考えています。

 このKAIKAには、文明開化の「開化」、花開く「開花」という2つの意味が込められています。これから私たちが進める運動は、個人、組織、社会が互いに影響しあいながらともに発展する未来を実現するものなのです。