インタビュー&ニュース

 東京ミッドタウン、あべのハルカス、グランフロント大阪、そして東京タワー、東京ドームなど、まちづくりのシンボルとなる建築物を数多く手がけてきたのが、竹中工務店だ。その歴史は戦国時代を終わらせた大坂夏の陣の5年前、1610年に神社仏閣の造営を業として始まった。現在は、グローバルなスケールで、まちのライフサイクルの企画・計画から建設、維持運営までを行う「まちづくり」全般に取り組んでいる。
 その一方で、同社は社内の研修プログラムを学校の教員や大学生に提供している。「最良の作品(建築物)を世に遺し、社会に貢献する」という企業理念のもと、建築業界全体のひとづくりを目指している。またこの研修では、創業のころから受け継がれている「棟梁精神」を説くが、その内容は「建築を業とするものは建築の職人であって、営利のみを追求する商人であってはならない。利害を超越すべし」というものなどで、企業の垣根を越えて求められる職業倫理を示している。
 KAIKAプロジェクトでは、「個の成長、組織の活性化、組織の社会性」を継続して実現する力を持つ組織を「次世代組織」と呼んでいる。400年にわたって守り続けた「棟梁精神」や企業と社会とのかかわり方について、宮下社長にうかがう。
Q:東日本大震災の復興事業や東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要などで建設業の人材不足は深刻化しています。また、技能労働者の高齢化も進んでおり、人材の育成が急がれます。竹中工務店の研修施設では、新入社員が実物大のモックアップなどを使って「見て、触れて、体得する」ことで知識や技術を学んでいます。さらに社外の技能労働者や教育関係者・学生向けの教育プログラムも実施し、企業の垣根を越えて「棟梁精神」を広めています。

宮下 当社は1610年の創業当時から受け継がれてきた「棟梁精神」と、「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」という経営理念の下、時代のニーズとお客様の期待に応える建築作品を提供し、社会の発展の一端を担ってきました。
 棟梁精神の目指すものは「伝統と革新」、そしてそのDNAを従業員一人一人が継承し、誇りと情熱を胸に誠実に仕事にあたることであり、個々の行動と成果を組織として人材力に結実させ、社会に新たな価値を創出していくことにあります。
 KAIKAの考えにも通ずるこの精神を体現し、人々が幸せや歓びを感じることのできる豊かで安心な「まちづくり」に取り組むことで、竹中グループ全体でサステナブル社会の実現に貢献していきます。
 そして当社では、KAIKA Awardsにおきまして、2014年には「伝統継承とDNA醸成、そして進化する『新社員教育制度』~竹中精神を基盤とした社会との対話~」、2015年には「体験型研修施設による建築技術者の育成及び教育関係者・学生への『建築』教育プログラムの実施」の取り組みについて、それぞれKAIKA賞を頂くことができました。

Q:2010年の10月に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が施行されて、木材を使って学校や公民館などをつくる動きが広がっています。また、最近では商業施設や、病院など幅広い建種で木材が利用される様になってきました。御社が開発を進めた「燃エンウッド」は、地震や火災に弱いと考えられていた木材を使って、大規模な建築物を建てられるようにした技術ですが、このような革新的な発想は、多様性を認める組織から生まれます。

宮下 様々な課題を抱える日本社会において、人々の暮らしや企業活動は多様化し、まちや建物に求められる機能は絶えず高度化・複雑化しています。
 私たち建設業に求められるニーズが変化し続ける中、当社はKAIKAが提唱する「個の成長・組織の活性化・組織の社会性」の実現に向けた取り組みを推進し、ダイバーシティや新たなワークライフバランスの確立など、多様な人材が最大限に能力を発揮・結集できる、また誰もが働き易い環境整備に取り組んでいくことが急務だと考えています。

Q:国土交通省は地方の自治体に向けて、街の中心部に住宅地や生活インフラを集める「コンパクトシティ」化を進め、人材やエネルギーを効率的に使おうと呼びかけています。安全・安心で高齢者や環境にやさしい「サステナブル社会」をつくる取り組みは、まちづくりにかかわる建設業の貢献が欠かせません。

宮下 竹中グループメッセージである「想いをかたちに 未来へつなぐ」のもと、時代の求める最良のソリューションを提供していくため、地域や社会、お客様や様々なステークホルダーとの対話を深め、その想いを「まちづくり」を通してかたちにしていきます。竹中グループ全体でグローバルに未来のサステナブル社会を実現していくことを目指していきます。